ついに『元旦の会社設立』が可能になります!By 丸山 主税 / 2026年1月30日 令和8年(2026年)2月2日に施行される「商業登記規則等の一部を改正する省令」は、起業家や企業の法務担当者にとって待望の、かつ実務的なパラダイムシフトをもたらす改正です。今回の改正の目玉は、一言で言えば**「土日・祝日でも会社設立ができるようになる」**という点に集約されます。本コラムでは、この改正の背景と、実務に与えるインパクトについて解説します。 「登記のカレンダー」がなくなる これまで、株式会社や合同会社の「成立年月日」は、法務局に登記申請が受理された日(オンライン申請の場合は受付番号が付与された日)とされてきました。つまり、法務局が開いていない休日(土日、祝日、年末年始)には受理を行わないため、必然的に会社の誕生日は「平日の開庁日」に限定されていました。「1月1日」や「2月22日(猫の日)」といった、記念日や語呂の良い日、あるいは事業戦略上キリの良い休日を設立日に選びたくても、これまでは制度の壁に阻まれてきたのです。 改正の骨子:設立登記の「特定日指定」 今回の改正(商業登記規則第35条の4の新設)により、以下のルールが適用されます。 これにより、いわゆる登記のカレンダーに縛られず、経営者の想いやブランド戦略に基づいた自由な設立日の設定が可能となります。 デジタル化と「公示とプライバシー」のバランス この改正の背景には、政府が進める「登記手続のデジタル化・利便性向上」があります。 また、近年の商業登記規則の改正の流れを汲むと、今回の「設立日の自由化」以外にも、代表取締役の住所非表示措置の運用開始(令和6年10月)など、起業のハードルを下げつつプライバシーを守る施策が続いています。一方で、今回の「休日設立」が可能になることで、登記完了までのタイムラグや、税務署への届出(設立届出書など)における日付の整合性など、実務上で留意すべき点もいくつか出てくるでしょう。 起業文化への追い風 「会社がいつ生まれたか」は、経営者にとって単なる事務上の記録ではなく、法人のアイデンティティそのものです。今回の省令改正は、登記業務における法制度がようやく起業家の感性や現代のスピード感に追いついた証とも言えるでしょう。令和8年2月2日以降、日本のビジネス界には、より多様な「誕生日」を持つ会社が次々と生まれることになりそうです。